森秀織物 代表 長谷川博紀 桐生織り御召 のこぎり屋根で伝統を織り続ける | 経営者会報 (社長ブログ)
御召織発祥の地にて、後世に残せる事、今しか語れない事 日本の織物・着物文化を次世代に伝える! 森秀五代目 長谷川 博紀
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群馬展ご来場誠に有難うございました!!
昨日まで行われました、高崎高島屋で開催されました第31回群馬展にご来場いただきました皆さま、誠に有難うございました!
お陰様で、当社のブースにも多くのファンの皆さまにご来場いただき盛況の内に無事に終了する事ができました。一昨日からの大雪には参りましたが、群馬展としても好成績に収めることが出来たと高島屋様のご報告がありました。
このご時世で、首都圏の百貨店が次々と閉鎖されていく中での根強い人気ぶりには、参加している当事者としても驚きと感謝の気持ちで一杯です。
これも、ひとえにモノづくりに励んでいる地元の工芸士・農産物業者・食品業者への声援と生産者の顔が見える製品への信頼感がお客様にもあるのだと確信します。
また、その場を提供し後押しして下さる群馬県の職員の皆さまにも感謝、感謝でございます。
今回も森秀おめしのファンになっていただき、着物のご注文・帯のご注文をいただきました。誠に有難いことです。伝統・文化に根付く着物を群馬県の絹糸を使用して、桐生の中で完全に製品にまですることができる。グローバルな世の中でありながら産地で川上から川下まで作業ができる、有難さを痛感いたします。
絹織物の原材料であるお蚕さんから県内で入手できる群馬県・桐生市としても誇りに出来ることだと思います。江戸時代以前からと同じ製法で産地で生産できる商品が今現在日本にどのくらい残っているのでしょうか?
「こんなに良いしぼが出ているお召がこの値段で安いわね。ましてや現在貴重な時代になって(現在生産量が少ないのに)・・八丁撚糸も使っているのでしょう。」
「このお召、お値段が少し高いわね!私が買ったのはもっと安かったわよ。」
このようなお声を掛けていただくことがあります。どちらも最近は少なくなってきましたが、どちらも指摘としては正解だと思います。
※ 織りの着物・染めの着物の話なども良く出てきますが、今回は割愛します。
先ず、前者ですがお召の一つの特徴でもある独特の風合いとしぼを出すのは本当に難しいです。当社でも復活お召の際にはかなりの失敗をいたしました。それでも、元々お召機屋だったノウハウと職人いて、八丁撚糸機など道具が揃っていたので、現在の完成を見ることができました。お値段も受注生産で創っている小ロット・又は単品から考えるとかなりお買い得なお値段にしていると思います。(手前味噌ですが・・)、一人でも多くの、特にお召を知らない若い世代の方々に、江戸時代から続く伝統技術の着物を着ていただきたい。また、和文化の本当のファンになってもらいたいという願いを込めた価格です。
後者ですが、一つ推測出来るのはかなり以前に買われた価格のお話でなないのか?という事です。当社でも現在は本当のお召は数十反ぐらいの生産能力しかありません、昭和四十年の最盛期には年間数十万単位での出荷でしたから、同品種大量生産では、単価はかなり安値感は出てきます。
また、例えば、国産でない絹糸を使用したり、伝統工芸に基づかない作り方をすればコストも抑えられているように思えます。もちろん、短期的に見れば期末処分での特別価格なども考えられます。
現在、当社のおめし着尺は10万円~40万円の価格帯で20万円前後の縞お召が良く出ています。他の伝統工芸品の着物と比べてもそれほど高くないか、むしろかなりお買い得の価格設定にしていると思います。
価格が安い事が全てだと言われてしまえばお手上げですが、どこで、だれが、どんな原料を使用して作ったのかぐらいは気にして下さい。それが、日本に残された数少ない伝統技術を活かしていく消費者の心意気だと思います。
もちろん、食品等の全てを自給自足で賄えるわけではないので、せめて和の文化に根付く製品ぐらいは、原材料から製法までその産地で作られたものに拘りませんか?
※ 誤解の無いように、外国絹糸の品質が悪い!と言っているのではありません。
日本の伝統的な衣装には、日本古来の品種の蚕の絹糸が合う。その気候風土に育てられたものだからという事です。
経済大国であった日本ですから、原料の糸から、帯・着物の製品まで外国で安く作る事が出来たのかもしれませんが、これからはアジア一の経済力では無い日本ですからわざわざ日本向けに輸出する必要が無くなります。一部の海産物・食品では実際に起きている現象です。
そんな逆転現象で安い衣料品・ましてや破格の着物・帯は消えていくでしょう。そしてそれはその着物・帯の伝統技術も一緒に消えてしまうのです。とても悲しい事です。
欲しい消費者がいる。創りたい業者もいる。紹介したい商品もある。残していきたい伝統技術である。でも生産背景が無くなってしまった・・・という事を招いてしまうのが、安ければどこでだれが作ったものでも良いという今までの雰囲気が原因だと考えます。
当社でも、織物カレンダーなどインテリアの製品の一部には外国製の糸を使用しています。それに代わる物が現在日本製では無いからです。
絹糸も群馬県は全国一位の生糸出荷量であり、収繭量もその半分近くを占めています。工業的に稼働している製糸場もあります。恵まれた地域です。それでも、日本全体流通の絹糸のシェアから考えると1%ありません。風前の灯です。
そのような状況下でも、日本文化に根づく、着物・帯の外国での生産は絶対にあってはならないと考えます。もし一時的に消費者がそれを認めても、結局だれもが泣いてしまう結果(継承技術が無くなってしまう)を招くと考えるからです。
私も含めた、消費者の責任は重いと考えます。
原産地表示の確認はどんな商品でも当たり前ですが、ここ一番での確認は「工場を見せて下さい!」とお願いしてみることです。販売の方にでも結構だと思います。
日本では、不思議なもので問題になれば工場・会社に立ち入り調査などが入りますが、通常ではあまり予告無しの調査はありません。であれば、消費者が自分で見に行けば良いのです、お願いするだけでも確認の殆どを成した事になります。
断られたら・・・見に来られると困ると勘繰られても仕方ありません。
もちろん、当社では制作過程を公開していますし、織物工場の見学も大歓迎です。
織物についてのお話・ご案内も博物館(入場有料)で行っています。
原料についても、言っていただければ碓井製糸様から納入された状態の絹糸も見ていただきたいです。群馬県の世紀21ブランドの絹糸を見ていただけます。
富岡製糸場の絹糸も見られます。(皆さん知らないと思いますが・・)
10万円と言えば、嗜好品では当たり前かもしれませんが、大金です。(高い・安いは個人の主観ですが)ご自分の大切な愛用品がどのようにして生まれたのか知る権利はあると思いますし、その行動一つひとつが、きっと日本の伝統技術・産業の将来に明るい光を当てると思います。
思わず、長話しになってしまいました。最後までお読みいただき有難うございました。
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