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御召 (おめし) 桐生織物のお話

投稿日時:2009/02/04(水) 15:11rss

 以前にも少しお話したと思いますが、御召の由来のお話です。

 御召とは、天領地として、絹糸・絹(あしぎぬ)などを収めていた桐生地域(昔は桐生という名では無い)が、関が原の合戦以来、徳川家献上の織物を織り。
※ 徳川家康と桐生天満宮 徳川家斉と桐生のおめし 日光東照宮と桐生職人 西の西陣・東の桐生 徳川家の旗 あしぎぬと古文書 東大寺大仏の開眼式への桐生織献上 などより

 その中でも、特に将軍が好んで着用されたという着物の総称が発端で、徳川家斉特に好んだ高級な絹織物(先染め)を指している。桐生が発祥の地とされている

 独特の風合いと、シボがイメージされるが、縞御召以外にも、絵抜き・風通・無地など様々な技法がある。
 また、高級着でありながら、普段着にも使える、耐久性・しなやかさを持っており、軽くて・しわになりにくい特性を兼ね備えた先染め(色落ち・しみなども少ない)の織物です。
 昭和に入ってから、略礼装に使えるオシャレ着物として、ブームのピークを迎える(嫁入り道具として)が、ブーム商品らしく、様々な品質の物が全国で生産され出回り、供給過多となり下火となる。しかし、着物の需要が減った今も根強いファンがいたが在庫で賄えた。

 現在では、技法も定められており。八丁撚糸機の使用・絹糸の精錬・糊付けなどが伝統的に定められた技法で無ければ、独特の風合いは出せないと言われている。
 桐生地域でも、江戸時代には数百台の水車と千台にも及ぶ八丁撚糸機が稼動していたと言われるが、現在では数台のみとなっている。また、原材料も少ないことから、江戸時代から継承されてきた技法で織れる機やは数少ないとされる。

 国立文楽劇場、人間国宝の故 吉田様も、50年間新品の御召を探してきたが、『あの独特の風合いとシボが再現されていない!』と、骨董市・古着屋でハギレ生地を探してこられたそうです。
 当社でも、数十年間御召製作を封印してきましたが、昔ながらの技法がなくなりつつあると聞いて危機感を持ち、2000年に復元作業に入り、ようやく2003年より本格的に復活販売になりました。
 吉田様も数十年ぶりに『昔ながらの御召に出会えた!』と感激されておりました。
その後、各方面(公的な所ばかりなのでお名前は伏せさせていただきます・当社に来ていただければご来訪の写真などございます)のご依頼により、復元されたおめしを納めています。

 また、最近では着物・昭和の御召を全く知らない若い世代の方々に復活した御召を着ていただき、その後も、『御召を着てから、着物に対する考え方が変わった』『これほど、丈夫で、着易く、上品な着物は知らなかった!』とリピータとなっていただき、二度・三度と御注文をいただいています。
 現在の男性着物ブームにもあやかって、男性着物の数少ないしゃれ着として人気を呼んでいます。

 また、ブームではありますが、当社は織物屋(メーカー)です。なので、適正と思われる価格の設定をしておりますが、希少価値のある織物としては少々安いのでは?とお客様にご指摘されているのが現状です。森秀織物HP御召(おめしおり)

 ブームに関わらず、着物の需要の少ない昨今ですから、いつまで織る事ができるのか・・・様々な工程の職人がいて成り立つ織物です。平均年齢が高いのでこの先が心配です。おめしに限らず、日本古来の伝統的な織物全ての現状だと思います。

 
 

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会社概要

当社は明治十年半農半工の形式で始まりました。初代の森島秀により力織機による御召の製織を研究、成功を見、以来各工程を逐次機械化し現在のような設備と方法になりました。...

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個人プロフィール

 1971年三重県四日市市生まれ、結婚を機に群馬県桐生市に。織物のまち桐生で、機屋と呼ばれる会社を引き継ぐ。織物・染色に関する体験資料館、織物参考館“紫”ゆかりを運営する傍ら、御召機屋として、八丁撚糸による伝統工芸技術完全復活を2004年に宣言。きりゅうまちづくり活動に参加、桐生織物協同組合・...

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