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2009年05月25日(月)更新

吉村様、ご質問の紗織の構造です。

ご質問のありました、紗織の手織り織機の構造を掲載します。

 織機
 上から見た手織り織機の全体像です。
通常の織機と違うのは、絡みソウコウと押さえのソウコウが加えられていて、それが連動して動くというところです。

 さらに、ズームでこんな構造になっています。そうこうが単独ではなく連動して動くように作ってあります。
 ソウコウ構造
捩りを、自動でこなす優れた機構です。機構を理解していない人でも織ることができます。もちろん、メンテナンスや柄変えは無理ですが。

そうこう横

 横から覗いたところです。
通常の組織の開きを捩って、逆に口が開いているのがわかりますでしょうか?

捩り

さらに近寄った画像です。
わかりますでしょうか?写真と文章では分かりづらいかもしれませんね。

 因みに、わが社ではもともと自動織機での紗織を開発した経緯があるので(紋紗会を立ち上げ、特許もない時代だったので技術を全て公開した。)捩りのノウハウが蓄積されています。紗・絽・その応用の紋紗などです。
 羅!についてはよくご質問をいただくのですが・・・織物として成立するのか、なんとも言えません。カテゴリーは捩り織・絡み織なのでしょうが、技術的に見れば、むしろ綾織り・繻子の発展形で縫いとりの技術を活かしたものではないかと思います。

 ただし、近年注文が減りあまりバラエティに富んだ紗織をしていないので、このままでは無くなってしまう織技術なのかもしれません。わが社も含めて・・・
 なんとか、継承していきたい織物の一つです。

 森秀織物 株式会社

2009年04月18日(土)更新

稲冨 様 帯をご覧になって下さい。

名物裂の段ペルシャ帯で、こちらは袋帯の仕立て上がりになります。

本日のお着物に合う感じで、ご希望の色目ですとこちらがお勧めです!
色使いとしては、ベース薄い茶色・金色です。

名物裂 段ペルシャ

こちらは、ポーチになっていますが、白がベースの生地です。
製作しないと現在帯生地は無いです。こちらは注文での製作になりますが、名古屋帯に仕立てる事が可能です。
ポーチ段ペルシャ

狩猟文です。絹100パーセントで、写真だと少し光ってしまいましたが上品な光沢と物語を持っている帯です。あの御召着尺にも色使いとしても合うと思います。
狩猟文
森秀織物 

2009年04月08日(水)更新

三代様

 三代さま
お尋ねの、画像を掲載しますご覧になって下さい。
これは、機械で回して糸を繰り上げているところです。
トンボ

こちらは、これから縦糸用に糸を整形するために準備しているところです。
トンボ2

いずれも、据付台が無ければ作業はできないようになってます。
これらの作業は、わが社では糸をボビンに巻きつけたりするときに行う工程になります。

2008年06月02日(月)更新

正絹・絹糸・お蚕様のお話。

 皆様、ご存知だとは思いますが、絹糸はお蚕が吐き出した貴重な長繊維です。
そして、お蚕様は蛾の仲間です。この辺りまでは聞いたりしたことはあると思います。
繭・成虫

 長繊維と呼ばれるぐらいですから、相当長いのですが、何メートルぐらいだと思いますか?蛾の幼虫が作るのですから、あまり手間が掛からないように思いますか?
 絹糸の一本ってどのくらい細いか知ってますか?そもそも、養蚕用のお蚕とは、どんないきものでしょうか。

お蚕・脱皮
 先ず、絹糸の長さですが、100メートル単位ではなく、種類によっても差はありますが、1,000~2,500メートルの長さがあります。しかも、途中で途切れることはなく、驚くべき細さながら、一本の繋がった糸状になっています。
 続いて、糸の細さですが、これも種類によって差はあるものの、吃驚の細さです。
長い糸のどこを計って、何ミリという単位では説明できないので、昔のデニールという単位で説明します。
 重さを基本にした、秤での取引に使われてきた方法で、現在国際取引の単位には使いませんが、現場ではまだ良く使用されています。(因みに、現在推奨されている単位はデシテックス)
 9,000メートルで1グラムの重さがある絹糸を1デーニールと言います。
もちろん、そんなに細い糸は想像つかないでしょうが、何と!絹糸一本は大体3.5デニールです。細いでしょう!薄暗ければ判別が付かないほどです。
21デニールというと、6本の絹糸を束ねた計算になります。それを、さらに束ねていき、織物で使用するときには200・600・1200デニールなど、撚糸をした糸として使用します。

繭・なりかけ
 一本でそれほど細い繊維を形成するのは、一定の強度が無ければなりません。
その強い繊維を何本も束ねるのですから、強い生地になりますし、薄い繊細な生地を作ることの出来る天然繊維になります。
 
 蛾の仲間と表現したのは、飛べない蛾だからです。人間が世話をしないと飛ぶどころか、まともに移動もできないので、餌を確保したり、蚕床になる場所を見つたり、交尾をしたり、とにかく、全部人間任せです。(野生から養殖にしだした頃は飛んでいたらしい、3千年くらい前。)
回転まぶし
 種の存続自体を私達に委ねた生物です。絹糸を提供・卵を産むそのことで生きること自体を依存しながら、存続している種です。他の、養殖生物とは、人間との相互・信頼関係の深さが違います。

 そして、吐き出す繊維は素晴らしい強度と繊細さを兼ね備えているのに、お蚕自体は非常にデリケートで弱い生き物です。感染病のように病気が一頭でも起きれば、その舎は全滅になることもあります。極端に暑いのも・寒いのもだめです。清潔にすることも忘れてはいけません。育てている何週間かの間に、蚕になる準備段階で餌を食べなくなる瞬間がきます。その、少し前には十分過ぎるほど餌を与えなければなりません、それは、農家の方が毎日・一日中お蚕と付き合っていなければそのベストタイミングを見極めることは難しく、栄養が足りないお蚕は糸を吐き出せずに溶けていきます。
 
 この添付写真のお蚕は私が、春子(はるこ)として育てたものでしたが、やはり、お蚕まで無事に育ったのは半分もいなかったかも。農家の方々はもちろん上手に育てるのですが、100パーセントの成功率は無いでしょう。生き物ですからね。

 様々な化学繊維が出てくるまで絶対的な存在の糸(何千年も最高級品)でありましたし、現在でも、糸の王様といっても過言ではない機能性・特質製・そして上品な光沢感はシルクとしてのブランドを確立して、世界中の人々に愛されているのが何よりの証でしょう。

正絹として、日本人に愛された、糸シルクです。

2008年05月29日(木)更新

紗織り、手織り織機完成!


 以前から、念願であった、紗織の手織り織機が当社に納品されました。
力織機での紗・絽などの捩り織は得意としてきたのですが、手織り織機でなくては
織れない物があったので、さがしておりました。
 
 織物組織などの詳しい話はまた後ほどということで、とりあえず写真を掲載します。

紗・絽手織り織機
捩りを、自動でこなす優れた機構です。

 織りつけの生地を見ると、こんな感じです。
手前が、絽です。中間の木目がうっすら見えるのが紗です。
この写真では、解りづらいかもしれません。また、再度撮り直します。
紗・絽アップ

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